誰が種を蒔いたのだー?

渋谷のイメージフォーラムで友達と後輩と3人で映画を観た。
「パーマネントライフを探して TOMORROW」

久々にドキュメンタリーを観た。パーマネントライフ、持続可能な生活についての映画だった。映画は5章に分かれていて、たとえば農業、経済、民主主義、といった感じで流れるようにテーマが移りながら、場所も変わりながら、インタビューの旅をまとめた内容だった。すこし説明的なのかなと思ったけど、そういえばドキュメンタリーってこういうのだったなと思ったりもして。

わたしがキャッチしたメッセージは、ひとつには、映画を通して語られていた多様性の持つ意味について。それは森を例えにしていたりもしたけれど、森の本来の姿は様々な木が混在しているから、本来の姿への回帰の意味も込めて、それを農業に当てはめたところ、工業化された農業よりももしかしたら生産高も高くなるかもしれず、かなりいい手応えがあるという実験の結果だったりした。(その農園はフランスだったんだけど、フランスがかつて占領したラオスでは今も昔も田舎だとこのやり方のまんまだったりもするから皮肉といえば皮肉。笑)

あとは、ライオンの話で例えられていた経済の話。ライオンは目の前に草食動物の群れがいてもお腹が減っていなければ襲わない。襲って蓄えておいたり、他のお腹の減ったライオンに分けたり、ましてや売ったりしない。しかし人間は蓄える。蓄えて売る。貯めるから略奪が起きる。貯めて貯めてお金に変える。それは金持ちになりたいという欲につながっている。という話だった。確かにその通りだ!と思ってビビッときた。

しかし、貯めるということは略奪の必要条件だけど十分条件ではないんだとも思う。必要以上に欲しがらないのが動物で、もっともっと欲しくなってしまうのが人間ってことなのかな。だとするなら、いったい理性とはなんなんだろう?わたしは、個人的には、野生的でありたい。(笑)

ヨーロッパ、とくにフランスや、イギリス、そしてアメリカを回って作られた映画だったのだけど、EUの最近の動きからも思うのが、みんなお金の羽振りが悪くなってきたんだなということ。それを映画を見てもヒシヒシと感じた。だから、たとえば地元でしか使えないお金を作ったりして地元を活性化していくことだったり、コミュニティの重要性について語られていたり、デトロイトの車産業が破綻してから農園をやり始めて地産地消を始めた話だとかが多くあった。
足元がぐらついてはじめて、その大事さに今になって気づいた、という感じかなと思う。

それ自体はとってもすてきなことだと思ったし、日本もそうなっていったらいいと思うこともあった。だけどひとつ物凄く強い違和感を感じていたことがあった。それは外国人が誰も出てこなかったこと。これが日本の映画だったらまだ少しわかるけど、向こうは日本なんて比じゃないくらい外国人の数が多い。国境も接している。外国人というフレーズそのものがほぼ出てこなかったこと、これには違和感を感じた。

わたしの勝手な印象だけど、内容はすごくリベラルだけど、その実すごく愛国的というか(悪い意味じゃない)、そんな空気を感じた。右と左という言葉では、もう表せきれなくなってきたんだと思う。広がりすぎた世界は、経済の躓きとともに、どんどん狭く狭くなっていくのかもしれない。ということは、グローバルというやつは、お金に頼りきってたって話で、世界は繋がっていてひとつだ、なんてただの幻想に過ぎなかったってことだ。普遍的どころか、数十年で変わるんだから。
どこかそんな閉ざされた雰囲気を感じた。すごくピースな空気が漂っているんだけど、じゃあたとえば、あれだけたくさんの移民の人たちが流れ込んでいるけれど、あの人たちはどうしているのかとか、そのコミュニティに外国人は入っているのか?入れるつもりはあるのか?とか。地元の店とは、外国人の店も含むのか?とか。地元の定義がすこし知りたかった。

たぶん、自分が生き残るということに私自身も含めて、世界中の人々がこれまで以上に必死になってるのだと思う。だから、お金持ちがこれまで以上にお金を稼ごうとすれば人々は怒るし、たまたま外国人が商売に成功したら非難を浴びてしまうんじゃないだろうか。「地元の人間に還元せよ」と。ドイツのユダヤ人もお金持ちが多くて、それもあって、あの悲劇が助長されたというのも聞いたことがある。

なんてつらつらと、批判めいたことを書きましたが、この映画、農業についての部分や、インドでの話や、教育とか、とってもいい内容だった。うるっとしたもん。そのほか人生の捉え方とかとってもヒントになることが散りばめられていて実はいい映画なのです。音楽もよかった。いまは、イメージフォーラムでしかやってないみたいだけど、興味あったらぜひ。ちなみにここ、後ろの方座ると前の人の頭であんまり見えないから前方がオススメ。

渋谷で大根を作りたい!って、1年半くらい前とか、人に言ってたことがあったんだけど、ますますその思いが強くなったなー。都知事選に立候補して、与えられた土俵の上で戦うよりも、その土俵を根底から覆すような気持ちでというか、そんなの無くたって全然問題ない、余裕で生きていけますという完全否定の気持ちというか、半ば武士は食わねど高楊枝なのか、、(笑)、都会のど真ん中で大根とか作り始めたら、あれ?もしかして国会議員とかそんなにたくさん必要ないよね?なんてなるんじゃないかとも思うし、食いっぱぐれないし(笑)、国家的には脅威になる気がするんだよな。あと、単純に面白いと思う。

、、現実そんな甘くないですが、だいたい私の頭の中の畑には、こういう考えが植わっています。誰が種を蒔いたのだー。

おやすみです。

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